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本当に医者は不足している? 

 このところ西日本新聞の地域医療を考える第4部として“医者はどこに”と題して連載されています。地方の中小都市の病院が医師の確保ができず診療科を閉鎖したり、救急病院の指定を返上したりして医師不足から、地域医療が崩壊しようとしていることを伝えています。
ここに書かれている地方都市の現状は、都会暮らしの人からは想像もつかないことでしょう。福岡市内では医療機関が過剰になり病院の倒産も珍しくなく、病院、医院の広告看板があふれています。都会では、医療費抑制と医療機関の増加のダブルパンチで医用機関の生き残りをかけた戦いが行われているのです。しかし、一方この都会でも小児科医や産科医の不足の問題が指摘されています。
いったいこの差は、どうして起こるのでしょうか?本当に医者は不足しているのでしょうか?
私には、医者が不足しているとは思えません。医者不足と言われているのは、実は医者の偏在なのではないでしょうか。地方都市での医者不足は医者の都会への集中による偏在。都会での小児科医、産科医の不足は、患者減少や医療事故のリスクを心配した医者が眼科や皮膚科等のリスクの少ない診療科を選択したことによる診療科間の医者の偏在。この二つの偏在が、あたかも医者が不足しているように見える原因なのです。
1970年代の医学部の増設、全都道府県への設置で医者の数は確実に増えているのです。絶対数だけでなく人口あたりの医師の数も着実に増加しています。それなのに、医者不足が近年叫ばれるようになったのはなぜでしょうか。
医者不足の原因として、医師の卒後教育制度の変更の影響が挙げられています。新卒医師が自由に研修病院を選べるようになったことで、地方の大学病院で卒後研修を受ける新人医師が大きく減りました。それに伴い大学の医局員が減少し、大学の医局が地方病院へ医師を派遣できなくなったと言う訳です。
自由に研修する場所を選べるようになれば、設備も整い、最先端の医療を学べる都会の病院を新卒医師が選ぶのは当然のことでしょう。将来、開業した時に競争が激しいとなればなおさら、人よりより優れた技術知識を身につけようとするのは当然です。また、少子化の影響、出産時の事故が多いことなどから、将来開業するときのリスクが高い小児科や産科を選ばないのも当然ではないでしょうか?
では、この問題を改善するのにはどうしたら良いのでしょう。単に医学部の定員を増やし、医師の数を増やせば改善しますか。そんな事をしても、大都市に効率よく収入が上がる美容外科や美容皮膚科が増えるだけで、今言われている医者不足の改善には役に立たないと思います。
へき地に赴任することを条件とした奨学金制度もあるようですが、その枠は余っているのを知っていますか?今、医学部に在籍する学生の多くは都会の豊かな家庭の子供です。小さい時から塾に通い、私立中学高校に進学し医学部に合格したのです。高額な教育費を負担できたから医学部に進学できたのです。そんな家庭で育った学生が地方大学の医学部を卒業して都会へ戻る、これが現実です。高額な教育費用の負担に耐えられた親が、奨学金で子供の将来を縛るような事をするはずがありません。だから、いくら奨学金を出したところで効果は余りありません。
それでは、どうするか。それには、国が医師の働く場所や診療科を決めるしかありません。職業自由を奪うようですが、医師の教育には1億円近くの費用がかかるといわれています。国立大学では、この費用のほとんどを国、つまり国民の税金で賄っているのですから、国立大学出身の医師の勤務地や診療科は、国が決めることにすれば良いだけしょう。それが嫌なら、自分のお金で高額な学費を負担して私立大学へ行けばよいとするのです。医師が不足しているところがあるのに、国民の税金で医師になった医師が都会で美容外科や美容皮膚科を開業しているこれは問題でしょう。
今後、人口が減少していく中で医学部の定員を増やし医師の数を増やすことはどう考えても税金の無駄遣いとしか思えません。それよりも、せめて国立大学の医学部入学の条件を将来の就職場所、診療科を国が決めることにする方がよほど効率的だと思います。


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