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医療費抑制の切り札 

  先日、テレビのニュースで介護保険の不正受給についてのルポが放送されていました。介護事業者が、実際に行った介護サービス以上のサービスを行ったことにして、介護保険料を請求したというものでした。患者さんが支払う1割分の負担分は、業者が請求しないので患者さんは、多くのサービスを受けた事になっているのが分からないのです。おまけにこの業者は、正規のサービスを受けた分の1割の負担分についても、割引をすると広告し患者さんを集めていたとの事でした。
 このような不正行為は、介護保険だけでなく従来からの健康保険制度の中でも、同様な不正請求が時に行われ、発覚した場合には保険医停止等の厳格な処分が下されてきました。一部の不正な医療関係者が行ってきた不正のために、現在の保険制度では、不正を如何に発見するに膨大な費用が費やされています。医療機関が保険者に費用を請求する診療報酬明細書を一枚一枚チェックする作業量は膨大で、それに要するコストも半端なものではありません。厳格なチェックで、本当に必要とする検査や処置が認められない事もしばしばで、医療機関のそれに対する反論等でその負担も大変なのが現状です。
 このような事務的費用の無駄を省き、かつ不正な請求を防ぐには、医療サービスを受けた本人つまり患者さんがその費用を全額窓口で支払、その後健康保険組合から本人負担分を除いた額を受け取るのが良いと思います。こうすることで、まず行ってもいない医療サービスの不正な請求が出来なくないます。次に患者さんも自分の受けた医療費を自覚し、その必要性についても真剣に考えるようになります。例えば老人医療に於いて月額負担額以上はいくら通院しても同じだから必要以上に通院するとか、軽度の症状で必要以上の薬を処方されても、まあ自分の負担は変わらないから貰っておこうと言ったことを良く聞きますが、実際の負担は同じでも、一度自分で全ての料金を支払うことにねれば、そんなことは無くなると思います。そして、支払に対する患者さんの監視が厳しくなるので不正な請求がしにくくなり、診療報酬明細書のチェックを行う事が必要なくなって事務的費用は激減します。
 では、どうしてこの窓口での全額自己負担のシステムが取り入れられないのでしょうか?そこには、行政と医療者側の思惑があるのです。行政は、国民に直接お金を渡すのを極端にいやがります。一般市民が不正な請求をしやすくなると言うもっともらしい理由を付けていますが、本当のところは、個人にお金を渡すよりも組織にお金を渡す方が、自分たちの天下り等の利権を作ることが出来て都合がよいわけです。医療者側にとっては、窓口で全額自己負担になれば、先ほど書いたように患者さんの医療サービスに対する目が厳しくなり、医療機関の選別や受診の抑制が起こるのが心配なわけです。医療費抑制の必要性が叫ばれながらも、患者さんを置き去りにした行政と医療者側の都合が優先されているため、本当は最も重要なはずの医療サービスの水準が低下してるのです。
 先のニュースの最後は、非営利組織が運営する介護サービス会社がぎりぎりまで経費を切りつめて介護サービスを行っても、現在の保険給付の水準ではなかなか経営が難しいと締めくくられていました。非営利組織がしても難しいのに民間の医療機関が真っ当な方法で利益を上げることが医科に難しいか、その中で患者さんが十分な医療サービスを受けられるとは思えません。
 医療費抑制の問題を行政や医療従事者に任せるのではなく、その受益者である一般市民がこの問題を真剣に考え、声を上げる必要があるのではないかと思います。

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